演劇ラボ「定期講座」開講にあたって

演劇ラボ「定期講座」では、日本の演劇界を牽引する俳優志望者を対象にするわけではなく、まごうことなく“街中を普通に歩いている一般の人”を対象としています。基本的に火曜日から日曜日の週6日間、1年を通して開講します。優れたプログラムを多数制作して、地域のみなさんに喜んでいただければ幸いです。
「演劇の力を知ってほしい」「演劇をライフスタイルの一場面で活かしてほしい」そんなコンセプトで立ち上げた企画です。

私事で恐縮ですが、そのコンセプトこそ、私が演劇制作者を志した動機そのものでした。



地元の商業高校の演劇部に所属していた私は、それはそれはとても手のかかる厄介なキャスト志望の男子部員でした。自己顕示欲は強いのに、他者とのコミュニケーションが苦手でいざという場面では殻に閉じこもるのです。ただ人気者になりたくて、良い演技がしたかっただけだったのですが、自己をみつめ、他者と対話をする演劇の素地となる資質を持ち合わせていなかったため、ずいぶんと部員や顧問の先生方にご迷惑をおかけしました。

部活にとっては迷惑者の私でしたが、生きて行くために欠かせない何かを演劇作りを通して得たという確信を強く持ちました。また、この演劇の魅力を1人でも多くの人に知ってもらいたい。演劇に恩返しをしたいと考えるようにもなりました。
そして、当時憧れていた演劇集団キャラメルボックスの加藤プロデューサーが、学生時代の成井豊さん(同カンパニーの作・演出家)の作品を観て、「100万人ぐらいの人に観せたいっ!!」と思って劇団に飛び込んだという話を知りました。そして演劇を広めるには制作というものが必要なのだと目覚め、この道に飛び込むことを決意しました。

そんな私の高校3年の夏休み。夏の演劇大会が終わった頃、中部日本高等学校演劇連盟愛知県支部主催のワークショップに参加しました。講師として来名していた劇作家・演出家の平田オリザさんのワークショップがとても面白く(私は確か坊主の役で、キツツキのマネをしながら舞台をハケルというドタバタ創作芝居をやった記憶があります)、刺激的な時間を過ごしました。それまで笑いあり涙ありのファンタジックな芝居を目指していたのですが、流行りの芸人のギャグを真似するように、自分たちの稽古場で同時多発会話の練習をして遊んだものです。

このワークショップという手法が演劇の作り方を知るためには、大変有効だという事に気付かされ、TTPを旗揚げして幾つかのワークショップを企画しました。ところが、演劇制作者としてどっぷり現場に浸かって行くうちに、迫り来る公演の成功を何よりも最優先するようになりました。
しかし、改めて自分の足下を見渡した時、初志からの軸の乱れに慄きました。劇場の中での特権に甘え、演劇コミュニティに依存していた自分に愕然としたのです。

今年で東海シアタープロジェクトは結成9周年。今後は自らのプロジェクト以外の「制作」「制作協力」業務を撤廃し、全力で自主企画に取り組んで参ります。
また、コミュニティビジネスの担い手として期待され、廃校となった旧・本陣小学校/COMBi本陣に入居してから丸2年。いよいよ地域活性にダイレクトに取り組むスタートラインに立つことにもなりました。

今は「演劇の力を伝えたい」という想いに加え、更に強い使命を感じています。ともあれ、初心に帰って活動ができることを嬉しく思います。これまで支援してくださったみなさま、ありがとうございます。

今回のプロジェクトに参加して下さるみなさんの子供や、またその子供達が大きくなった頃。
彼らが演劇の前線に立つ旗手となり、未来の若者に希望を与えてくれる。

演劇ラボがそんな契機となるように、粛々と努めて参ります。


東海シアタープロジェクト 大橋敦史
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by macaroni-2004 | 2008-03-02 03:39 | 演劇制作  

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